晩秋/
……とある蛙
風が無い季節に
病葉(わくらば)が落ちる
眼に見えない時間が
自分の掌から零(こぼ)れ落ちて行く
突然訪れた季節に」
黄色の銀杏並木は
幹まで落葉で覆われ
道行く者の足を掬おうと
黄色の滑りやすい絨毯が
坂道を覆う
足元を見る余裕もなく
歩み続ける者の
頭上を掠める鳥一羽
不吉な予感はするが
捕捉することは出来ない。
身を任せて切り抜けるしかない
深々と秋は過ぎ
冬はそこの電柱の陰から
こちらを覗いている。
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