氷結する球体としての孤独/北街かな
 
天に向けた指の先が真白の点に触れる、その冷たさ
私は指先から凍りついて言葉をどんどん失っていく、
貴方の去り際に際して何もひとつも思えない

透明の、重く地上に突き刺さった球体が
地球のまんなかのくらやみ宇宙に沈んでゆくときの音、
その音色、夢にまで見るほどの玲瓏さにすべてのひび割れが溶けて、
つややかな表面になるよ

触れてみればその磨き上げられた球状を知れるだろうさ
孤独、孤独は常に感覚受容体をすり減らして何も、何も
かなしさなんてなにも感じなくなるまで、完璧な球面に
完全な球体に、この壁を磨きあげてゆくのだから
何も思えず何も 虚脱も絶望も無為
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