下を向いて歩こう/かのこ
涙が溢れ出てしまいそうになる
そんな一人ぼっちの帰り道には
「上を向いて歩こう」と
みんな口をそろえて謳うけれど
見上げればちぎれそうな眼差しの星たち
あっという間に滲んで何も見えなくなる
呆気なく流れ出した滴が
やけに頬に張り付くんだ
だから今は、下を向いて歩こう
足元を見て、小さくても確実な一歩を
今日の日のこの涙とともに踏み出すんだ
コートの襟を立てて、今はそれもいいと思える
冷たく吹き付ける冬の夜風だって
今なら余すことなく受け入れられるよ
行き場を失った惨めさも淋しさも
惜し気なく零していけたら
ほら、一人ぼっちが渇いていく
だから今は、下を向いて歩こう
足元を見て、小さくても確実な一歩を
今日の日のこの涙とともに踏み出すんだ
コートの襟を立てて、今はそれもいいと思える
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