音のこと/はるな
 
っと気付くのは、冬のはじめの日で、その朝わたしは霜を踏んだ。それから、うすく氷の張った水たまり。とても静かな朝で、薄暗く、たしか日曜日か祝日かのどちらかだった。寝静まった朝。つめたい空気と、はく息の白。夜の名残りがあちこちに散らばって、街灯はまだついていて。そして氷を踏んだ。

それから割れるものをさがした。ガラスや陶器より、もっとうすくて軽いもの。バレンタインの高価いチョコレートよりももっとうすくて水をたたえた何か。花は格好だった。庭に咲いているわずかな花たちはすべて冷凍庫へ行った。
かならず、深夜か早朝(もう朝といってもいいくらいの深夜か、まだ夜といってもいいくらいの早朝)に、わたしはそ
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