避難18/カエル
 
あの
匂い、あの
塩素の匂い、あの
匂いをかいで、早く
水に入りたい、音も
聴こえない、中にいて
水をかいている、砂まみれになって
味がするし、足がつかない
温度も冷たい、なんにも
聴こえない、自分の
吐く息と
呼吸と
浮いてみたりとか、もぐったりするけど
広さがない、人が
いない、空が見えている、光が
そこだけきらきらしている、その
光の中に入っている

山小屋のロッジに見えた
逃げているばっかりでもないんだな
誰も追いかけていない気がする
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