血の死相(九)/信天翁
 
青い年のひとはよく云う
「自分をほめてやりたい」と
だが 黒い年のおらはつぶやく
「自分をいとおしんで逝きたい」と
つむじかぜが快音を殺して
      紫斑の肉につきささる
薄日が歓声を蹴散らして
      涙いろの骨にさしこむ
あゝ 街なかの川もはにごっている
街はずれのプロムナードはだまっている
そして
   透明な四次元だけがうそぶいている

(娑婆の縁尽きて力なくして終わる時に
 かの土へは参るべきなり)
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