あふれるころ (幻肢の砦たち)/乾 加津也
 
わたしはかならず
まいります

            ( わたしなど忘れて
どうぞ握って
こぼれてください
もうすぐ
/わたしの
波打ち際で

ひたすら
ひたすら
なんときたりとも

            ( とどまりたく はないのです
雨だけ
てまえに
していてください

左と右と
であえるように

            ( かざす きお くも
            ( よせては かえし
いつ ?

きかれて
つまさきだって

あふれる
ころです
つめたさの

きこえない
街角のころ
/です




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