幽かな家/
加藤小判
円形の石が
積み上げられて
石と石の隙間から
灰色い霧が吹き出している
その霧の粒の
内側と外側が互いに侵しあって
壁のない家が建築される
それは入口も出口もなく境界も曖昧な家
雨の降る夜に宙吊りになって
時刻の裂け目を見下ろしている
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