験潮儀/天野茂典
 
はいつも変わっているのだ
  朝日のない朝なんてちっとも気分が高揚しない
  鳥たちもしずかだ
  地球がすっぽりドームならばいつでも試合ができるのに
  傘もいらない
  雨に濡れたホトトギス
  紅葉した何の木なのか
  大地の恵みを喜んでいるのだろうか
  立ち枯れしたヨーロッパの山林
  白骨化した死体のようでそれは恐ろしい地球破壊なのだった
  赤い傘さしてまもなくぼくはでかけるだろう
  乾くとぼわぼわになる本をぬらさないように
  大事に抱えてぼくはローカル線に乗り込むのだ
  弱い雨の日にはッシュークリームが食べたくなる
  甘い和菓子がむしょうに食べたい
  ざんざか ざんざか
  ざんざか ざんざか
  降る雨でなく
  しっとり潤う繊維の中でぼくは
  験潮儀をしつらえるのだ
  わが魂の潮位をはかるために
  赤い傘さしてぼくはきょうもローカル線に乗って行く
  

  東京なんだぞここは・・・・・





            2004・10・26
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