朝は見知らぬ人のきみ/高梁サトル
 
ーションのような何かに癒されたくなる
差を付けることばかりに気が狂ってる
人間でいるのに疲れて表情のないものになる
信心深い顔をして増殖し続ける
楽しみを見出した恍惚の表情たち
いのちが尊いとはっきり自覚している生物が
手折ろうと踏み潰そうと気にも留めない
何かに

茜色の空が閉じていくのを眺めながら
肩に降り積もる暗闇に見失わないよう
しっかりとお互いを抱いて
少しだけ話をした
感情自体が何かを成し遂げることはないということ
さみしいねときみが笑って
僕は俯いて泣いたんだ
あまり大げさにならないように

羊歯がすっぽりと輪郭を覆って
器用に模型を崩すくろい両手が同化してゆく
傍で過行くものと留まるものを見守りながら
瞼を閉じる
毎晩のこと、

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