鬼になった子供(鬼吉と春一番)/板谷みきょう
ぐるゥり山に囲まれたこの村だでぇ、こん時期ンなれば、ホレ、あの屏風山から山おろしが、『ごおごおっ、ごおごおっ。』っての。ソラ、屏風山のずっと向こうサ白むくの「せせらぎの峰」に寄り添う様にセ、おっきな桃色のお月さんだじゃあ。丁度、ばっちゃがオメェくらいン時だった。今日えんた、まんだらなこんな晩にセ、ばっちゃのばっちゃがのォ、話してくれたもンだ…ええから、黙って布団サへえってれって…仕方ねェべサ、オメェのお父っちゃもお母っちゃも、まンだけェって来れンもんだでェ。…まンまンまンまン、ええって、床サ、へェってれって…。ばっちゃの話だもの、もうずうっと前の、昔の話しだのしゃ。…いつの頃やら…忘れてしまった
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