コーヒーカップ/kokorono
 
削れたコーヒーカップの

春を容れることができないところが好きだ


ぼくに季語はない

季語をもってる人は

季節がくると

花が咲くよ

手から 花が

足から 花が

目から 鼻から 耳から あたまから

花が咲くよ

季節が巡れば また

花が咲くよ

けれど

ぼくに季語はない

咲くものはない

明日

咲くものはない

ぼくは

容れるもののないことばを彷徨う

わからないものだらけだ


ただ


何も容れるもののない

削れたコーヒーカップの

浴びる光を零していくのが好きだ

大好きだ


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