そのひと/……とある蛙
 
て行く。天国は上にあるのは間違いないと 根拠無しに断言したランボーは偏見の塊で、絶対にゲリラから仲間を救えない。斜めに感じる黒い月の視線はキラキラ沈む蔭のようなチャフ。チャフに遮られた球体の光を見失わないよう走り続ける。
 走った先に大きな樹、闇の中に屹立する巨大な幹、空を覆う枝々の透き間から零れる闇、天を指さし英雄伝説の週末、発光体を飲み込む巨人の視線の先に黒い光線。
目眩ましされている巨人は だいだらぼっち、まつろわぬかみの末裔、海を目指して目覚めては見たが、二千年ぶりの杜は煤けた暗黒の照明があたりを照らしている。二千年前、彼が作った山は削られ、彼が貝を食べた海は埋め立てられ、動けなくなった。
 海はゴミのような人に飲み込まれ巨人は咆哮する。巨人は涙する。巨人の咆哮は大地に響き渡り、巨人の涙は豪雨となって大地を洗い流す。
大惨事の始まり




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