《楽典》 粘膜上皮/salco
擦音
tptptptptptptptptptptp……
陶酔につれ加速して行く
アダージョ・ドルチェからプレスティーノ・フェローチェ
感興と疲労を顧慮しつつの自在な変速、タッチの強弱
終奏までの涙ぐましい通俗アド・リブ
理知の底流
美辞麗句の核心に酔う獣の交歓の
うねり高まる螺状混声2重唱
その間に間に聞こえる通奏音
それは経験者のiPodだけに同調する、
耳まで赤くなっちゃう伴奏音
このよがり声のカプリッチオの次に
十月後に生まれ来るお子さんには極力知られたくない
抽斗隅の催淫剤
アパッシオナートかつエスプレッシオーヴォ
どんな家でも頬染めいそいそ鳴らしてる
わりと後ろ暗めなヨロコビの歌
これをして粘膜上のカノンと人は呼ぶ
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