チャイコフスキー/アズアミ
 
18になったら
黒いロングコートを買うと決めていた
ファスナーを勢いよく
心臓まで引き上げて
これでまた
心にひとつ鍵をかけた

冬になるとみんな
前かがみで、早足で
なんだか街はいそがしい
雑誌の付録についていたトキメキを
腰のあたりに張りつけて

白い空
それは
空白そのもの

ゆううつの垂れ下がった
あの空へ続く
螺旋階段から、ドレミ
ふかいふかい夜、見上げれば
君の爪あと
白い月が
ぐさり
戻る   Point(3)