優しさで殺して/きみのてを
私を追いかける影が
夜の音を奏でながら
二つ一つと距離を壊す
崩れそうな私がささやく
「もうそろそろ
殺してもいいでしょ?」
私には出来ない まだ出来ない
私を優しく包む闇が
未来の脳細胞を食しながら
二つ一つと過去に引きずる
通りすがりの放浪者が呟く
「ここに長居してはならない。
車も電車も通らないのだから。」
だから歩けよ 大地をふんずけ
灯台が見えなくとも
足が切り落とされなければ
君に廻り会う 血の道でも
泣き崩れそうな私が伝える
「明日私を火葬して
昨日私は愛されたから」
私には出来ない でも未来なら・・・
魂の汚れを拭くように
君を愛したことは確か
最期もこの腕で包みながら
どうか私に微笑んで
死んでおくれ
死んでおくれ
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