あの女/一 二
 
誰が知っていよう
あの女の胸の内
どす黒いものだけで
渦巻いている

誰ならば
あの女の
沸々と煮えたぎる
魔女の鍋の底で煮られるような
非道の責めから逃れられよう

誰ならば
あの女の
高慢と嘲笑だけで
塗り固められた
我等を滅ぼす為だけの知性に
抗えるだろう

誰ならば
あの女の
貧しき人の救済という
建前を隠れ蓑にした
偽善と強欲たる
悪銭の稼ぎかたを
真似できよう

影をいくら踏んでも
影が消えないよう

どれだけ石を投げようとも
消え去らぬ
水面の波のよう

勝てる術は無い
逃れる術は無い

ただ通り過ぎるのを
待つばかり
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