雨の奢り/
月乃助
い夜のどれもが、
けして間違いなどではないと信じていた
背もたれを失った
夜の椅子に座るような不安に
冷えた体で佇めば
風に弄ばれる
空き缶の転がる音は、悲しげに
置き去った過去を鳴り刻む、
眠りつく雨の街に、濡れ鼠の夜
もう差し出すなにもなくて
もう受け取るなにもなくて
辿り着くことのなかった夢
不埒な足音をさせる 危険を犯しながら
君は今も歩いているのですか
それを、後悔する事など
考えもせずに
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