未浄化の為のいくつものリブート/ホロウ・シカエルボク
んなに距離を稼いだって先に進めないやつだっているさ、俺はそのことを知っている、だから留まることだけはしない、行先を読み違えたりしない、それは行き着いた先で決めるから、そんなことを語るには長ったらしい言葉が良い、取り留めもない、次々と浮かび上がる言葉の転写でいい、俺は記録される過程でありたい、誰かの前で確かな温度であってみたい、俺は爪切りを探す、俺は爪先の破れていないスニーカーを探す、外に出るのに恥ずかしくない服を探す、部屋の鍵を探す、財布を探す、行き先を探す……それらすべてが、誰かの前で俺の形をしていればそれでいい。
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