親と子/yumekyo
一方の死によってのみ
緊張感から解放される
親は子に対して屹立し続ける為に
子の三倍は奮闘しなければならないと考えるが
緊張感に耐えられない者達は
子を玩具として取り扱うことで
自らの像そのものを誤魔化し続けている
時を経て自分自身の破壊に至ることを知らず
もっとも最近では
相対し続けるそれぞれの親と子の周りは
親にすらなれないであろう若者達が層状に幾重にも取り囲み
剣闘士の殺し合いを期待する観客の役目のみを果たしている
閉じ込められた親と子は
客観同士を食い合って像を失い
ふたりして振り上げた拳を下ろす相手を持たない
自暴自棄の存在となって
やがては観客に襲い掛かり 牙を向き
流血の惨事となるのである
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