漏電/nonya
どこかが漏れているらしい
だらしなく垂れ流しているらしい
絶縁したはずの友人に
性懲りもなくメールしてしまう
甘さが原因なのか
胸の奥が少し揺らいだだけで
塩辛い水を滲ませてしまう
緩さが原因なのか
暮らしの裏側に降り積もる埃を
見なかったことにしてしまう
狡さが原因なのか
それでもブレーカーは
落ちないから
どこかは漏れ続けるらしい
だらしなく垂れ流し続けるらしい
当てずっぽうに繋いだ回路は
溜息の数だけ捻じくれて
もはや辿ることもできない
頼りになるはずのアースは
地に足が着いていなくて
てんで役に立たない
幸い電圧があまりにも低過ぎて
誰かを感電させる恐れはないようだが
それはそれで情けない話だ
たびたび自分自身と絶縁したくなって
焦げ臭い煙を立ててしまうのだが
もちろん燃え上がる勇気などないから
どこかは漏れ続けるのだろう
だらしなく垂れ流し続けるのだろう
まだまだブレーカーは
落ちてくれそうにない
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