誰かの匂いがしてた頃/番田 
 
色の中に 見せてよ
私のまっさらなこの 髪の毛に 口づけてよ
そういってた あいつは
今ごろどこだろう





夜明けの 部屋の彼方で
手にした体の暖かさ
僕の 意志を 弾いた
この温度は 今は どこにある


カラオケボックスの中で色々な曲を熱唱し
ドリンクバーも頼まずに 現実を忘れて歌った


君は大学受験の志願書を置いてどこに姿をくらましたのだろう
今となっては気にとめる者もいない





朝の駅前のどこかに
色々な形をした ネオンサインが 灯る
声をからして 叫んでいる人が
ビルの体にアルカノイドのように 声を 反射させ
スモッグの 向こうに放っていくのだろう
何もかもが忘れられるべきなのだと


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