誰かの匂いがしてた頃/番田
きらきらと留まるものを見ているのなら
手を伸ばさず 歩いていくのなら
近道ではないかもしれない
それは 近くにあるんだろうと 知る
川の畔に 綺麗な鳥が飛んでいくのを抱き合って 見ていた
それは 見ているだけで 幸せになれる
そんなひとときなのかもしれない
公園は噴水が様々なきらめきを辺りに散らばせていて
まるでレミオロメンの曲が聞こえてくるみたいに美しい
演奏家がハトを集めながら
ベンチで 音符を鳴らしている
僕には 歌えなかった
難しかったあの曲が
歌えるような気になれた 気がした
灰色の空の中に 輝く 破片のようなあの歌を
ラムネ色の
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