一ヶ月ぶりの女/はだいろ
 
業苦」という小説を読んで、
ひどく感動する。
こんなに醜いこころを、
こんなにありのままに著せば、
なぜか、
こんなに透き通るような救いがある。


このごろよく寄席に通っている。
落語のいいところは、
たとえ、
本質から外れようと、
それはそれで、いいんだよ、
という自由さにある。
そして、それは、本質の厳しさの逆説でもある。


ぼくは本質的な、
人生の美しさや厳しさに、
ぼくじしんとして、
挑まなければならないときが、
近いのではないだろうか?
あんなぶさいくな女を抱きながら、
そう考える。

もしも世界がすべて、美しいものばかりでできているならば、
なにひとつ、
美しくはないということなのだから。








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