せせらぎ/ゆうと
 
言うから
僕はびっくりしてしまって
手にすこし電流がはしって
ぽかんと口を開けていたい気分だったけど
目が覚めました。

バスは橋をわたります。
じょうずにじょうずにわたります。
いつか描きたいと思っていました。
あかるい絵の具を使える日がきました。

水を得た魚のように
きらきらと空気を吸い込んで
きらきらと光を浴び
きらきらとおよぎました。
僕の世界はあの頃より遥かにあたたかくなったのです。
バスを見送って途方に暮れたときよりも
時間はまわり、あかるくなったのです。

そうして
きらきらという音だけが
夕暮れの空にのぼっていき
夜には流れ星となって
ぽしゃんと川へ落ちていきました。

それを
僕たちは目をこすりながら見ていました。
とてもきれいな夜でした。




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