プレゼントは遠慮するから幽体離脱したい/あおば
 
言わないと鬼にされるのが嫌でならなかったが
お菊さんも気が弱いのか
今日も朝から井戸の傍でお皿を数えているから
邪魔しないように
こんにちはと挨拶してから
桶に水を汲む
朝昼晩にと
天秤棒で母屋まで運ぶのが痩せた身体には辛いが
器量好しのお菊さんがじっと見守ってくれるから
辛い顔をするわけにもいかない
この程度は朝飯前と
少し戯けて片足を斜め前に持ち上げて
とっとっとと足早に立ち去るのだ
幽体離脱できないくせに本物の幽霊の前では少しも気にならないのが
考えてみれば不思議なことだ





「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作を修正。
タイトルは、こさん。






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