エリスの思いで/吉岡ペペロ
 
ロサンジェルスの薄ぐもりの海岸

タクシーをおりるとそこには僕だけだ

なん色かの雲の層がよこに延びている

風が水っぽい匂いをさせてほどけていた


エリスはほんとうにいるのだろうか

まだ寒いが3月だった

午前中でもこんな閑散としているとは

もうすこし賑わっていると思っていた

エリスの姿もそこにはなかった


近くのバーが空いていてくれた

あまり酔いたくはなかったけれど

ふつうにバドワイザーをたのんで

世間話をなんとなく聴いていた

クラプトンのマザーレスチルドレンが流れ出した


なんでこんなとこにいるんだろう


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