夢(仮題)/佐倉 潮
ている連中があたしを追っている」彼女はまた笑い立ち上がった。
「あなたももうすぐその一人になるわ」
女は綴じた物を僕の前に差し出してこう言った。
「はやく、こんな物は燃やしてしまいなさい」
僕の手はその物を受け取ろうとしたが、それよりも速く、外部からのドン・ドン・ドンという音が女の姿を、扁平な何かに変えてしまおうとしていた。ドン・ドン・ドン、ドンッ! 女は塔の頂き。その言葉を僕は最後に知って、壁が崩れたことを次に知って、その次はまだ、思い出せずにここにいる。
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