「 決別のとき 」/
椎名
長雨の後
秋が逝く
冷たい風に背を押され
高くなった青空に見守られ
短過ぎる秋が逝く
別れを惜しむかのように
虫の声
もう少し愛でたいと
せせらぎの音
暑過ぎた夏の思い出が
段々と色褪せていくように
木々の葉が色を変える
深い想いが
胸の中をかけめぐるから
今はここで佇んでいよう
水の音に耳傾けて
虫の声を味わいながら
色づいた葉が全て落ちたなら
そのときが
決別のとき
燃え尽きた想いと
届かなかった想いへの
戻る
編
削
Point
(0)