れきし/
高梁サトル
た
濡れてもすぐに乾くので洗濯する必要がなかった
彼女の人生は
大声で話せば演説になり
大勢に認められれば思想になった
大量生産されれば商品になり
それを売捌く商店は栄え
向かいの商店は潰れていった
彼女の口癖は「正義」だった
或るひ、
女は目に涙をため
「わたしこどもがうめないの」
と言った
六年後見合いをし玉のような女児を授かった
皆口々に
「おめでとうございます」
と言った
歴史とは
自伝に残らないこころで
成り立っている
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