最終電車の窓の向こうに/番田 
 

眠い思いで電車に乗って
どこに帰るというのだろう 僕は
橋を渡って そして
今日も 広い 川を越えていく


詩を書こうと思ったのは10年前のこと
僕にとっての詩は何でもなかった
教科書に載っている詩は ぜんぶ 面白くなかった
当たり障りのない 言葉ばかりだった


文部省の教科書だから くだらなかった
毎年毎年 そうだった
塾のテスト問題のほうが遙かに面白かった
特に覚えているのは 村上春樹の文章だろう



詩を書こうと思ったのは10年前のことだろう
僕は佐野元春や浜田省吾に傾倒していた それに
尾崎豊に長渕剛に ビートルズ
だから 詩を書こうとしたんだろうなぁ


現代詩手帖に詩を投稿した時は中学二年だ
「カラス」という題名の自信作だった
開いてみると もちろん載ってはいなかったが
1200円もするその雑誌にはある不思議な詩人が載っていた


そんなふうな出会いはいつの時代もあるのだろう
今でもそれは本棚に入っている
僕がそれを読むとき いつでも
彼が時をこえて 魔法の言葉を 伝えに来る


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