そんなに長い眠りじゃなくてもいい/ホロウ・シカエルボク
う
おぼつかない足音のエコー
さっきまで聴いていた、ロッカ・バラードが耳の奥でくすぶっている、おれには選べない、うたえるうちに断ち切る終わりなんて…世界は変質する、純潔に偏執して…汚れない者は風呂に入らない、垢の浮かない人生などない
寒くなるせいか、すぐに床に入りたくなる、身体はすでに横になりたがって…今夜の眠りはどうだろうか、猫のように何度も目覚めたりはしないだろうか、おれの真摯さなどたわむれに過ぎない、裏で出す舌があるからこそおれは生き延びてきたのだ
動かなくなったそのときがいちばん生きてるみたいに見えた
なにもかもなくなって垂れ流しはじめてからが…つまりやつにとっては
なにもかも投げ出すことが
生きるという結論だったのだ
眠るよ
眠る
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