中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
売日の予定が少し遅れてしまうかもしれない。メンバーやスタッフには済まない、と思っているけど、…なんていうか、最近父親への憎悪が一段と激しくなってきて、リリックが煮詰まっていて…。どうしても、作業に集中できない。その代わり、その感情を吐露した言葉だけが浮かんできて、それを遠回しに薄めて、少しずつ、書いている…」
 君は無理な作り笑いを浮かべて僕に言った。僕は君の心情を案じた。

 次の日、僕はCD屋に行って、君のニューシングルを買い、夜通しずっとそれを聴いていた。僕が君のバンドの公式サイトに書き込みをしようとしたところ、君の日記は更新されていて、次のようなコメントが載っていた。

  ニュ
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