中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
大学院卒業祝いを日が昇るまでやった後、僕の研究室のメンバー達と札幌駅で別れた。蹌踉めく体で始発の地下鉄に乗り込み、手摺りに凭れながら瞼の裏側が真っ赤に透けているのを無意識に時々確認している自分がいた。

 その後どのようにして家路についたのか全く覚えていない。気が付くと僕は自室のベッドに倒れていて、いつものようにノートパソコンを開いてメールのチェックをした。インターネットに接続してやたらとむず痒い瞼を擦りながら大きな欠伸を一つすると、新着メールが一件届いていた。迷惑メールのようではなかった。寝惚け眼でメールを開くと、宛先人の名前を見て僕は一気に覚醒した。それは?君?からのメールだった。


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