届けられた心/朧月
あなたのために心を込めました
とあったので
いったいどこに心があるのかしらん
と包装紙を乱暴にはがしながら
じろじろとみてみました
まさか包装紙の裏に
心と印刷されているなんて
おもうわけないから
そんな風にだれもが
人の考えなんて思いつかず
踏んだり見落としたりしている
ふつうそうだよね
(ふつうってなんですか)
あれとかこれとかで
指示してくる高齢の上司は
だいたいとか それぞれとか
固定しない言葉がすきだ
時間給はタイムカードだからいいね
押せば未来まで決まるから
押せない日は生きていなかった日だと
カウントされたりしてね
帰り道の月はときどきに
欠けたり満ちたり自由で
みてる人がつける値打ちを
あざ笑うように隠れる
(まるで固定されやしない)
雲の総量はきっと
地球より多いのだろう
私に贈られた心を
透かして月をのぞきみる
小さな小さな字で
だいきらい
と かかれてあった
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