Queeeeeeeeen/salco
 
理路


 通されたのはあの謁見室ではなく奥まった居城の一室だったので、女は
脈ありとほくそ笑んだ。女王の居室に続く次の間か何かなのだろう、床に
は何の素材か豪華な絨毯が敷きつめられ、薄暗い壁面には巨大な狩猟画の
タペストリーが飾られ、その下では横長に切った暖炉に焔が燃え盛ってい
る。
 二頭の豹皮が掛けられている長椅子に腰かけようとすると、仕着せ姿の
細長い男がつかつかと歩み寄って制した。目をひんむいて顎をしゃくる。
その顎は数歩先の床を示していた。ともあれ絨毯の上に座らせてくれると
いうだけで大変な待遇改善ではある。
 観音扉の向こうは繻珍の衝立が立てられており中
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