田舎のスーパーマーケット/豊島ケイトウ
 
かと土足で上がり込む海綿の集団を
懸命に振り払いながらもうどうしようもない居場所まで
来てしまっている子供に返ろうこれからずっと

ずっと

黎明の手触りをドレープでひしめくカーテンから搾取する恩恵に
与るのは君でもキミでも勿論僕でもない誰かだ

パイロットに選出されたからって何になる人類が
こんなにも喘いでいるというのに神々の視線を一身に浴びつつ
ある乞食は呟くだろう五年後あるいは五十年後に

明るい未来を喰らう楽しみさえ失った客室係が泣く泣く
見る情景を知っているか
それは田舎のスーパーマーケットに恐ろしくよく似ている

戻る   Point(6)