おちば/乾 加津也
せんそれはわたしのこころの葉脈になほも“熱情”といふ傷だらけの古木(まぼろし)が/すがるやふにぢっとわたしをみつめてゐること/あヽ立ち尽くしてゐるこれほど/これほどきよらかな選択(わかれ)はしりません
ちひさなわたしのしらなひ/さびれた街ではしろひ汽笛がなってゐる/蟻との夜をおもひだしましたちよふどこんな冷たひ夕暮れそして/ちよふどこれほどさわやかな季節に/なつかしさはうつくしひのですね/うつくしひちからが/これまでとこれから/のわたしをいゑ/わたしのしらなひ/すべてを/おおつて/くれまし/た/。
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