宇宙から始まる朝/天野茂典
 
霜の降りた葉の上で朝露が
  朝日にあたってキラキラしている
  少年の瞳のようにだ
  純粋知性のパラダイム変換
  ひとつの公理で学問はひっくり返ってしまうのだ
  一人の偉大な人間の出現で世の中はひっくり返ってしまうのだ
  地球儀に足をかけて
  カマキリは
  宇宙飛行士になることをゆめみている
  ミソハギの紫
  ナナカマドから紅葉は始まるといわれているが
  ぼくの頭も朝から紅葉してるのだ
  湖がみたい
  緑の
  箱が
  みたいのだ
  人はそれを名づけてパンドラの箱という
  あらゆる災いや不幸が起こっては困るが
  それが知の宝石だととするならば
  朝日に照らして
  蓋をあけ
  アスファルトの道路の上に
  ひっくりかえし
  ばら撒いてみたいものだ
  知性の輝きが
  露
  になって
  ふるふる
  こぼれ
  落ちる
  こと
  だろ
  う 

    
           *宝石箱をひっくり返したような朝ー西脇順三郎
           2004・10・24
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