カクレクマノミのエサになりたい、なんて自虐的にわらう/光井 新
十一月がエイトフォーを念入りにふっているね、もうすぐやきそばパンを買いに走るのだろう、もう一つのセカイでぷかぷかと眠っている人形のために。
だれの命令でもなくて、あまいお菓子を食べていたいんだ。あたたかな白い色したチョコレートとか、透き通ったピンク色のキャンディーとか、それはたぶん十年先も変わらないキミとボクとのマーブル模様なんじゃないかな。明日も明後日も変わらずに太り続けたら、万華鏡の中で起きている戦争が終わる頃には、魔女に食べられてしまうかもしれない。一緒に走ろうよ。
おめでとう、リスもムササビも見えない所で祝福してる。
背泳ぎしていたんだ、一晩中ずっと。うすっぺらなテレビがキミの瞳に映し出されると、波にスライスされて、絡めていた指を失っていたことにも気づかずにへらへら笑っていたなんて、無神経なのはボクだ。
ごめんね、魚座なの。
ウソだ、そんなのウソだ、ボクは信じない、ボクの信じるセカイを青一色のレゴブロックで組み立ててみせる。
やきそばパンはまだかな。
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