空疎/寒雪
 


僕は十何代も続いてきた
名門家系の跡取り
名誉も
富も
人々の尊敬も
手に余るくらい
人に分け与えられるくらい


だけど
本当の僕は
空っぽで
1セントの価値もない
家系と言う隠れ蓑を
無様に剥ぎ取られ
中を見てみると
そこには僕の影形もない


僕に何があるというんだ
すべてを相続しただけで
自ら勝ち得た物なんか
何一つ手の平にありはしない
僕には何もない
何もないんだ


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