人格スケッチ「偽善者」に見る「飽き性」/光井 新
 
笑顔をただじっと観察しながら、幸せとは何かについて更に深く考えるようになっていました。人に優しくされる事が幸せで人を幸せにする行為が優しさというのが間違っていないとすれば、優しさは行為で、それを受ける事が幸せである。しかし優しさを受ける事と幸せは同義ではない、その事を私は知っていました。なのに何故知っているのかは自分でも解りませんでした。泣いていました。そして泣きながら、自分は今何故泣いているのだろう、と、考えていました。幸せの反対だから泣いているのかもしれない、そう思った時に、幸せの反対とは泣いている事で、
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