新大久保デート/快晴
なって
路上では豚の頭がそのまま売られ
食料品店なんかに入っても
日本語しか話せない方があくまで余所者
僕は牛の尻尾の骨がこんなに安いとか
「これはどこの部分だろう?」とか
そんなことをひたすら話して歩き回った
ビニール袋に詰め込まれたキムチが欲しくて
その子に相談したら顔を伏せて笑ってた
僕は牛の内臓の冷凍されたやつやら
結局、キムチも袋を何重にして買い
僕はそんな戦利品を誇らしげに抱えていたけど
帰りの電車でその子は終始俯いていた
その子とはその後に何度も会ったけれど
何故かその子との記憶はその日が最後
「何処でもいい」と言うくせに
女の子というのは全くもって難しい
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