魂の砂漠/一 二
 
小さな人影
危ないよ…ここは罠だらけの場所なんだ…
来ては駄目だ…
いつのまにか小さな…
小さな可愛い娘が…私の側にいて…
「はいっ、おにいさん」
私に水を差し出した
その子は私と同じに血だらけだった
痛くない筈はないのに…
それなのに何故この子は…
こんな笑顔を浮かべられるのか…
何故この子は…
こんな場所へ来てしまったのか…
「君は何故こんな場所へ来たんだ…
ここは最悪の場所だ…」
少女は風のように笑って
涼やかに答えた
「だっておにいさんが
困っているのが見えたから」
そんな…私のせいで…
この子は…こんな傷ついて…
私は地に倒れ伏した
己を責めて
[次のページ]
戻る   Point(0)