魂の砂漠/一 二
砂漠を歩いている
牢獄という名の砂漠を
手
腕
足
首
背
胸
増え続ける生傷から
赤黒い鮮血が溢れ
身体中を濡らしていく
空中へ幾重にも張り巡らされた見えない牙
砂塵の鋭い渦に包まれ
全身を赤黒く染め
次々と肉を切り裂かれながら
私は歩いている
いつになったら
この砂の海を抜けられるのだろう
身体の奥の胸の奥の心の奥で
見えない血を流し続ける
ずっと傷つけられ、
力を失い、
大切な全てが無へと奪われていく
切り裂く痛みが全てを支配し
突き刺す苦しみが心を灼き尽くす
「もう歩けないよ…」
そう想った時
こちらに走りよってくる小さ
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