粉雪 / ****'03/小野 一縷
全開に 開いたまま
意志を随分巻き戻して
起きてみる
白い砂丘だ ここは
ただ
天井以外閉塞された 白い箱庭
ジオラマの世界
プラモの兵士になって
駆け回る
ジオラマの世界
白熱灯が 熱く照りつける けれど
彼の視線よりは 弱い銃撃だ
回された 黒い穴
擦られた 黒い板
盗まれた 黒い声
仕組まれた鼓動だけ 重量の代わりに色が無い
ここは 落としたコインが鳴り止まない
リヴァーブの効きすぎたフロア
息苦しさの呼吸音は共震する
空白に ピアノの単旋律
雷鳴は 重く傾いで
鉄塔は 緩く揺らいでいる
鳴いている 捻れた電線
微かな 針
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