さきっぽの、夜/nm6
 
先端。ひねくれたぼくらは、落として割らないように気遣う手つきなので。鉛筆を眺めていると、とがっています。触れる表面のことを、甘美に思い出します。肌身でぼくを揺り動かすのは、電話帳を眺めればいくらかの人がいて、それでもそれぞれはいま繋がってなんかいない、物体だということ。削る、という行為の、緊張。玄関を境に、本棚をステップに。ここから、いかようにも飛び出せるのです。


さきっぽの、さきっぽの。ナウ、は暑くも寒くもなく。
ぼくは鼻先できみをなぞり、指先できみの匂いを思い出しています。




(ぼくは部屋のなかだ)




すれ違ったりどうなったりで、おもしろい散らばる本
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