草の先を
むすんで
おくのだという
悪戯心
という
生易しいものではない
もっともっと切羽詰まったもので
おさない死児が
先に逝った親しいものが
鬼か
魔物か
悪霊かに
追いまわされたとき
むすうにむすんだ草につまずいている隙に
とおくにまで逃げて
逃げきれるよう
という願いからきた行為であるという
そのお伽噺じみた祈りを
だれが無意味と揶揄できるだろう
*
わが子に触れえた
つれあいの声が聞けた
あぁ、よかった
と、皺ぶかいものは
嬉々として帰ってゆくという
賽の河原で石を積み
もの足りない背中がもそもそもそもそ動いて
ひとつでも多く
むすび
ひと心地つくおもいを抱えて
きょうもだれかが
夜汽車にゆられて
帰ってゆくというのだ
ひとつづつの灯がともる場所へと