モノトーンの虹/塔野夏子
 
街の空に
モノトーンの虹
夜が来れば
乾いた月がのぼる
この窓も枯れてしまった
無造作にガラスのコップに挿した
一輪のピンクのガーベラだけは
鮮やかに浮かんでいるけれども
街はずれの丘のうえでは
観覧車が メリーゴーラウンドが
今もまわっているだろうか?
風に吹かれて?
それはともかくとして
ここに来て欲しい
不安をすべて取り去ることはできないけれど
せめて一緒にいよう
お気に入りのソファはまだ健在だ

もう泣かないで
悲しい夢を見ただけだから




個人詩集「透明塔より」および個人サイト「Tower117」掲載




戻る   Point(3)