So/寒雪
 






煤けた化学工場が
汚い煙突から
スモッグを吐き出す
ねぇ
どうしてきみは
こんなところで歌ってるんだ?


アイツの歌は
明るいけど
どこか悲しい
笑いながら言う
「こんな時には笑顔がいちばん」


外敵を突き刺そうと笑う
錆びた有刺鉄線の中
行き先を忘れてる
あの子は
やっぱり歌ってる


通りを行く人々に
とびっきりの笑顔で
挨拶しよう
「気分良く挨拶出来たら最高ね」


一人寝が寂しいあの子は
いつも顔のない誰かと
腕を組んで歩く
そんなことは
もうやめよう
本当に好きな人の手を
しっかり握ったら
どこでもいいから
走り去るんだ


ぼくときみが
友人かどうかなんて
どうでもいいこと
ぼくが男で
きみが女なんて
聞かなくてもいい事
桟橋の上から
みんなに小便をかけてしまおう
ぼくが女で
きみが男
どうでもいいよ


今ぼくらは
とても気分がいいんだ


戻る   Point(0)